@article{oai:kindai.repo.nii.ac.jp:00004847, author = {池上, 甲一}, issue = {34}, journal = {近畿大学農学部紀要, Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University}, month = {Jan}, note = {いわゆる「途上国」政府は一般に, 食料の増産と生産の安定化のために, 積極的に大規模な灌漑事業の導入をはかり, 政策的な力点を置く傾向がある。にもかかわらず, とくにサブ・サハラ・アフリカでは, そうした灌漑事業の多くが失敗に終わっている。その原因の一つは, その地域に以前から存在しているさまざまの農法の特質を無視して, それとは無関係に灌漑農業を導入するという栽培技術的な不適合性である。第2の原因は, 農業資材投入や労働投入の増大に耐えうるだけの経済的成果をあげることが難しいことである。第3の原因は, 灌漑農業がその地域の社会制度や労働慣行や価値観とうまく接合できないという社会的な不適合性である。本論文は, 日本のODA援助案件の中で「成功例」に数えられることの多いタンザニア・キリマンジャロ州の稲作プロジェクト(LMP, Lower Moshi Irrigation Project)とその周辺地域を主な対象として, その社会経済的なインパクトを多面的に分析した。まず, 対象地域における食料生産システムを分類し, その中から伝統的システムの代表として「農畜林複合」(agrosilvopastoral complex)を取り上げ, その意義と課題を明らかにした。この食料生産システムは自給経済のみならず, 現金経済にも適合的であるが, 土地集約度の限界に達しており, 人口圧の増大を支えることができないという問題に直面している。そのため, 多くの人々が低平地に移動した。低平地の農耕は少ない降水量と不安定な降雨に依拠しているので, 旱魃の危険性と常に直面している。そこで灌漑農業に期待が寄せられることになる。LMPに代表される灌漑稲作は, 米の高い経済性と安定生産のゆえにLMPの外部にも急速に拡大している。この意味で, LMPはパイロット・プロジェクトとしての役割を十分に果たしている。しかし, 経済的成果は一様ではない。大規模層はますます豊かになり, その成果を農業外に投資する。そのことは一面で地域経済全体の底上げに貢献する。他方, 貧困層は雇用労働者として稲作に関与し, 現金所得を得る一方で, 「農業企業家」の登場を労働面で下支えしている。このいわば「階層」の登場は, 「貧困の共有」といった伝統的社会システムを大きく改変することになる。, 記事区分:原著, application/pdf}, pages = {55--69}, title = {タンザニア・キリマンジャロ州における灌漑稲作の導入と食料生産の変化}, year = {2001}, yomi = {イケガミ, コウイチ} }